製造業で働く人に読んでほしい【なぜ自分の会社が儲からないかがわかる本】

メーカー勤務の
サラリーマン
こんなにいい製品の利益率が低いのはなんでなんだろう?
そんな疑問を持った方にぜひ読んでほしい本をご紹介します。
本書は2021年にAmazon総合ランキング1位を獲得しています。

私もずっと
「こんなに頑張っているのに、いい製品なのに、どうして安いんだろう?」
疑問に思ってきましたが、
この本を読んですごく納得しましたし、たくさんの気づきがありました。
このブログでは製造業の会社で働くサラリーマンの私が
製造業の現場目線から「なるほど」と思った本書の一部を、
自分の経験と考えを交えながら紹介します。

「役に立つもの」と「意味があるもの」の二極化

私たちが購入する製品、サービスは

「役に立つもの」と「意味があるもの」の大きく2つに分けられていて

「役に立つもの」を作るのであれば、トップ企業しか生き残れない

「役に立つもの」は競争が激しく

「意味のあるもの」のほうが「役に立つもの」を作るより高く売れると本書で指摘されています。

 

自動車を例にとって考えてみましょう。

 

私たちが自動車を買い換える時は

「ファミリーカー おすすめ」や「ファミリーカー ランキング」などのワードで

人気の自動車(ランキング上位の自動車)を探したりしますよね。

 

ファミリカーに求められる要件としては

手頃な価格で、乗り降りしやすく、荷物がたくさん乗ることが挙げられます。

つまり「役に立つもの」ですよね。

 

個人の車の好みはありつつも、ランキング10位以内から購入している。

ランキング下位はそもそも調べない、という方が多いのではないでしょうか。

 

「役に立つもの」はランキング上位に入らなければ

消費者に選ばれない時代になってしまったので、

ランキング上位の商品は飛ぶように売れ

ランキング下位の商品は全く売れない、ということが起こります。

 

「意味のあるもの」に当てはまる自動車の代表格として

高級スポーツカーを製造、販売するフェラーリが挙げられます。

ファミリーカーは新車で200~300万円で買えますが

フェラーリは中古車でも3000万円以上の価格で取引されています。

 

同じ自動車なのに1桁以上の差が生まれているのはなぜか。

 

日本は戦後「役に立つもの」を作る方向に力を入れてきたのに対し

欧州は日本などのアジア勢に「役に立つもの」のシェアを奪われたタイミングで

「意味のあるもの」のブランディングに力を入れてきた歴史があります。

 

なので日本の製造業はごく一部の会社(キーエンスなど)を除いて、

売り上げ金額は高いけれど利益が薄い特徴があります。

 

トヨタの2020年度のROA(総資産利益率)は3.8%、

一方、高級スポーツカーを世界で製造、販売するフェラーリの日本法人Ferrari JapanのROAは7.4%。

 

フェラーリというブランドは自分にとって「意味がある」と認めたお金持ちが

一軒家が買えるような値段の高級スポーツカーを、

1円も値切らずに買っていくんです。

 

だからフェラーリは儲かります。

儲かるから、従業員もいい環境で働くことができる可能性が高まります。

 

皆さんはフェラーリが製造されている様子を見たことありますか?
工場には見えない、都心のオフィスかと思うような美しい場所で
美しい高級車がゆっくりと造られている。
「え、これが自動車の製造工場?」と驚くこと間違いなしです。

では日本の自動車の製造工場はどうなっているのでしょうか?

フェラーリと同じスポーツカーで比べてみましょう。

トヨタとスバルが共同開発したGR86とbrzの製造工程を紹介してくれているので、リンクを貼っておきます。

フェラーリとの違いにびっくりしませんか?

プリウスやアクアの製造工場はトヨタなのでもう少し体系化されている感じはありますが

まあ似たようなものでした。

 

誤解がないように言っておきますが、

私はスバル車が大好きですし、旦那が乗っているのはスバル車です。

 

1人の顧客としては、安くて性能が良い車が欲しいし、

そんな車を提供してくれるなんて最高だと思っています。

 

でも「フェラーリとスバル、どちらの従業員として働きたいか?」と聞かれたら

「フェラーリ」と即答します(笑)

 

あなたが勤めている会社は「役に立つ」製品の勝者なのか?

それとも特定のファンに「意味がある」製品を提供しているのか?

 

どちらでも無い場合は、その会社にあなたの労働力(寿命)を提供する価値が本当にあるのか

一度考えてみてもいいかもしれません。

 

「役に立つ」というのは1種類でよく、価格勝負になりやすく、勝者総取り。
対してそれが「意味がある」というフェラーリのようなものでは、希少で価値が生まれやすい。
本書より引用

プロセスエコノミーとは何か?

プロセスエコノミーを簡単に説明すると
製品をただ売るのではなく
製品を作り上げるまでのプロセスに価値を生み出して課金してもらうことを指します。
これだけだとよく意味がわからないですよね。
本書ではスマートフォンの世界シェア第4位のシャオミの例が紹介されています。
3000万人いるネットコミュニティの中で情報をオープンにして、「こういうやり方のほうがいいと思う」という意見を拾っていきました。
そして毎週月曜日に、新しいアップデート情報を公開していったのです。
みんなから要望が多いアイデアを取り入れて、シャオミはユーザーと一緒に理想のスマホを作っていきました。そのユーザーは発売前から潜在的顧客になっていきます。
本書より引用
なるほどと思いました。
自分がリクエストした機能を持ったスマートフォンが発売されたら
私も買ってしまうと思います。
では、製造業でサラリーマンしている私が
プロセスエコノミーの考え方を取り入れるにはどうしたらいいのか。
シャオミみたいにB to Cの企業であれば何かしらできそうですが、
私は化学メーカー(B to B)で働いているのでプロセスを公開するってメリット少ないんですよね。

 

製造現場や研究開発の過程はそれ自体が重要なノウハウですし
消費者の方が見て「すごーい」となるような綺麗な設備でもないです(汗)
それなら副業でもなんでもいいので本業以外で
プロセスエコノミーを取り入れられることを始めるしかありません。
実家の農業を手伝う様子をブログにアップするでもいいし、
身バレしないように気をつけながら
日常をYoutubeにアップしてもいいと思います。
なかなか再生回数が上がらないのであれば
オンラインコミュニティに入って
お互いのファンになれるような人を見つけるところからスタートでもいいはず。

 

私も会社は定時で切り上げて(笑)
ブログやTwitterをしながら、できることを探していこうと思っています。

「やりたいこと」の前に「できること」「すべきこと」をやる

「好きなことを仕事にしよう」

「経済的自由を達成して、好きな場所で生きていこう」

そんな考え方が注目されています。

 

このブログを読んでくれている人は、

きっと私と同じように

「このままの給料じゃダメだ」

「今の仕事を続けていたらダメだ」と焦っておられる人も多いと思います。

 

その気持ち、痛いほどよく分かります。

 

でも「やりたいこと(Will)」をしたい気持ちばかりが先走って、

「できること(Can)」「すべきこと(Must)」に取り組むことが疎かになっていないか、

時々立ち止まって考えてみることが必要だと本書では書かれています。

 

例えば今の会社を辞めて起業したいと思っても

あなたに家族がいるのであれば

最初に「すべきこと」は生活するためのお金を確保することになります。

 

Fireしたいのであれば

「今より年収が上がりそうな会社に転職する」

「投資するためのお金を稼ぐ」「倹約をする」などの

できること、すべきことが先に来ます。

 

地道に副業したり、資格の勉強をしたり、転職したり

全部ものすごく時間とエネルギーがかかりますし、

今の会社が嫌すぎて「やりたいこと」のことばかり考えてしまいがちですが

一緒に、できることを積み上げていきましょう。

 

最後に、「やりたいこと」が見つかっていない人に向けた

本書の一部を紹介して終わりたいと思います。

 

「私にはまだWillが見つかっていません」というのも全然問題ありません。誰かの「Must」を手伝って埋め合わせしているうちに、おのずと「Can」の仕事が見つかります。「Can」が増えていくうちに、やがて自分だけの「Will」に出会えれば、それでいいのです。

本書より引用

 

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